時々お世話になる海外の業者から長年ほしかったビナーチャの女神ヘッド(人形ネックorヘッドと呼んでおられる方もありますが楽器の価値からすると此の方がふさわしいのではと、独断でこのように呼ばせてもらってます)を買わないかとメールが入り、二つ返事で即購入交渉開始。
これを逃すと一生の後悔をしそうなのでほぼ相手の言い値で買い取りました  
 
しかしながら相手の輸送の際の梱包が悪かったため、到着してみると肝心の大事なネックの先が真二つに折れ呆然となりましたが、毎度お世話になっている専門の楽器店に相談、修理を依頼し見事に完璧に直ってきました。
   
拡大してみると女神の頭は後から取り付けた物でなくネックを削り出すときに一体で張られているのがわかる 
ラベルにはこう書かれています
 F.lli Vinaccia Fu p. LE & Co
Fabbrica Di Strumenti Armonici
Fornitori delle R. Casa d'italia
  Pimo Premio Chicago 1893- Primo Premio Londra 1898
Via S. Sebastiano 35 Napoli
Anno 1937
 
 
   
Brevettato Frattelli Vinaccia napoli
(特許ヴィナッチャ兄弟)と焼き印が表面板に押されている 
 女神の彫刻もなかなか手の込んだ仕上げになっておりこの楽器のグレードの高さを物語っている
 
 とにかく何度見ても見飽きない女神の上品な顔、全体のボディーも美しいラインで仕上げている
楽器そのものも制作年代が古い割に程度は極上で、傷みはほとんど無く修理の必要の無い完璧な楽器である
 
ヘッドに飾りのある有名なヴィナーチャのマンドリン系楽器では、故武井守成男爵の秘蔵楽器でライオンヘッドのマンドローネやあるいはプロのマンドリン奏者で、川口雅行先生の出版されているマンドリン教則本の表紙を飾る、氏所有楽器vinacciaマンドリンが有名ですが、これとはまた違った特にピックガードには細かい螺鈿の装飾が施してあり、この楽器のグレードとしては最高のランクに属するのではないかと思われます。
 当時のカタログが入手できないので推定でしか語れませんが、エンベルガーのコンサートモデルである「ドラゴンカーヴタイプ」あるいはカラーチェの「クラシコA」(Spモデルは登場してまだ新しい近年のモデルです)等に対抗する最高グレードの楽器であったのではないかと推測されます。

こういうタイプの飾りのあるヴィナーチャはおそらく戦前戦後を通じ何本かは日本に入っていてると思いますが、前述のクラシコA、エンベルガー(ドラゴン)に比べてあるかに少ない数と思われます。所有されている方にネット上での公開をしていただくことを是非楽しみにしております。 
 
余 談

だいぶん以前になりますがTV番組「なんでも鑑定団」にもこのタイプの楽器が登場したことが有り、(ずいぶん古い話で記憶が曖昧かもしれませんし、鑑定団のホームページ上ネットでも古い過去の番組なので登場しませんが・・・
 在イタリア中にイタリアの知人が所有していたマンドリンで、どうしてもほしくて買われた2本のマンドリンの1本がこのヘッドタイプだったのを記憶しておりますが、当時の価値としてはかなり高額で買われていたみたいですが 、鑑定額はほぼ買値ぐらいだったような気がしますが、細かい部分は古い話で曖昧で申し訳ないです・・・

鑑定士にはやはりマンドリン楽器商では著名なフレット楽器専門店のO氏が鑑定にあたっておられましたのを記憶しております。


 オールド楽器、現行楽器、資料楽器、アンティーク楽器など主催者がこれまでに集めた楽器を是非ご覧下さい
マンドリン編
三大銘器メーカー
12.フラッテリ(兄弟会社)ヴィナーチャ(Fratelli Vinaccia )
(Gennaro2゚ Vinaccia ) [b.1832-d.1933]
(Acchille Vinaccia ) [b.1836-d.1927]
1937年制作ブレヴェタット(特許) 女神ヘッドタイプ