世界には使われなくなったオールドマンドリンがたくさん眠ってます。
永年探し求めてました、ミラノスタイルのマンドリンがようやく手に入りました。
ミラノスタイルとはもう使われなくなった、マンドリンで調弦も〔
g-b-e-a-d-g
〕となり
内3弦はガット(羊の腸)弦、3弦は金属を巻いたシルク弦を使うマンドリンです。文献などで登場しますが、
本物はこれまでも見たことが無く、是非入手したいと思っておりました。
さすがは世界を結ぶインターネットです。ようやく念願のマンドリンを手にすることが出来ました。
メーカーもミラノマンドリンを発明した、本家アントニオ モンティーノによって作られたもので、これぞ本物の貫禄です。
(まだ、日本での本格的な修理はいたしておりませんので、音は未確認です)
ANT.MOZINO
MILANO
VIA OREFICI 7 E BASTRELLI,10
PREMIATA FABBRICA
DI STRUMENTI MUSICALI A FRILLO
モンティーノは文献で調べると、
Antonio MonzinoⅠ: c1725-1800
Giacomo
Antonio MonzinoⅡ: 1772-1845
Antonio MonzinoⅢ:
1799-1872
Antonio MonzinoⅣ: 1847-1930
Antonio MonzinoⅤ: 1855-1918
Antonio MonzinoⅥ:
1909-
とあり、制作年代は書いてありませんがおそらく3世か4世ぐらいかと思われます。
ミラノマンドリンはガット弦を使い、また単弦であったため、大きな音量や、スムーズなトレモロが出来ないため、
結局世界のマンドリンの主流は現在使われている、ナポリ型、ローマ型に取って代わってしまいました。
とにかく資料楽器としてどうしても手元に置いておきたい一心で、探し求めていたものでようやく買い求める事が出来ました。
全体に少し、損傷があり、ブリッジ付近も修理が必要ですが、ネックの頭や、
ピックガードの螺鈿(らでん)は残念ながらはがれてしまってますが、ボディーの裏全体に螺鈿が施してあり、
全体的な仕上げは非常に格調高い楽器となってます。
参考までに浜松にある浜松市楽器博物館の資料のミラノマンドリンをご覧ください。
ほぼこれと同じ楽器がありますが、こちらの方が裏まで螺鈿細工があり、手が込んでます。
ミラノマンドリンは1890年代にはイタリアのメーカー、カシーノによって12弦の金属弦によるマンドリンになりました。
この楽器の修理というより復元に近いですが、かなり時間をかけて、
慎重に資料を調べて原状を復旧させる必要があると思います。また出来れば専門家による螺鈿細工まで復元してみたいものです。
(お断り:取りあえずガット弦が手元にないので、ギターの弦を張って写真を撮ってます。)