番 外 編
 国産エンベルガーとは  国産エンベルガー

エンベルガーマンドリンのいきさつについては別ページの中程に掲載しましたが、これがエンベルガーのモデルを受けついている継承品なのか、あるいはコピーなのか、復元品、復刻品とするのか、レプリカ(忠実に作られたコピーという意味)である、などといったいろいろな評価が分かれて聞こえてきます。

もし仮にバイオリンの銘器ストラディヴァリの使っていた道具が発見され、これを買い取った制作家が寸分違わず同じものを制作して、ストラディヴァリであるとして売り出しても市場や業界は認めて受け入れてくれるでしょうか?楽器である以上、ストラディヴァリの音が伴わなければ評価されません、それプラス楽器の世界はいろいろ難しいものがあります。
かつて日産自動車からドイツのフォルクスワーゲンと提携して、ドイツと全く同じ規格、製造方法を導入し、日本国内でサンタナという車を売り出しました。
キャッチフレーズはドイツ規格で日本にて作った、ドイツ車と全く同じ国産車ということでしたが、結局市場が受け入れてくれず、国産車でもなく、ドイツ車でもなく、車籍がはっきりしないまま、それほど売れずいつの間にか業界から消えていきました。なんだかそれを思い出してしまいました。

この楽器については、管理者としては実際の音を聞いたことがないので、果たしてベルガー独特のあの軽快な、鳥がさえずるような音色を受け継いでいるのかどうか、この楽器についてどうのこうの評価は出来ませんのでコメントは差し控えます。

もしもエンベルガーマンドリンの復活を考えるなら思い切って現地イタリアのアルピーノに出向き、当時の職人を頼って、この地でエンベルガーから受け継いだ技術が途切れぬ内に、もう一度この美しい最高のマンドリンを彼の地にて復活させるような、野望を持つ制作家が現れるのを期待します。

最後に、伝統の音作りというのに感心したのは1935年製のクラシコAを手に入れたとき、その音色は現在のクラシコAとほとんど変わりがないことには驚かされました。
カラーチェのおじいさんの時代の楽器と現在のカラーチェの作っている楽器が75年の開きがあっても同じ音色がするのです。
日本では考えられないことです、これがヨーロッパの伝統かと、つくづく関心さされました。

日本のマンドリン制作家もここ二十年ぐらい前から非常に優れた楽器を作ってきています。ぜひ独自のスタイル、音作りを確立してがんばってほしいと思います。

 現在版エンベルガー Hendrik van den Broek

ネットで検索してみると、上記の国産エンベルガー以外にもオランダでもHendrik van den Broek が現代版ベルガーモデルを作っているようである。

番手もNo1~5、5bi、s 6 など7種類そろえ
最高モデルは例のドラゴンモデルとなっている

Model Embergher no.6 made in 2009, decorated with a Dragon in the scratchplate





またイタリア ミラノではLorenzo Lippi ロレンツォ・リッピがエンベルガーマンドリンを研究して復元モデルを製作しておりこれはおり、これは日本の取扱店を通じて入手可能なようである

いずれにしても本家のエンベルガーマンドリンが途絶えた現在にあって、エンベルガーモデルを追求しようとする制作家が何人か存在するということは、ますます本物のルイジ」・エンベルガー(ペコラーロも含めて)の人気は今後とも高くなり、よりいっそう入手しにくくなり価格もつり上がるのではと予想できる。