《マンドリンとその関連楽器 用語解説》
Paul Sparks著「THE CLASSICAL MANDOLIN」
Appendix:Brief Definition
より
 
 本 文
 

このセクションでは読者がマンドリンの文献上に出てくる多くの撥弦楽器についてのいくつかの簡単な説明をする。
(最も重要な楽器についてのもっと詳しい情報はこの本の他のところにあります)

19世紀末と20世紀初頭は大きな変革と発展の時代でフレット楽器の分野で何百もの製作家が、
それぞれのタイプのマンドリンをつくり出したが、その多くはすっかり消えてしまっている。

このリストは19世紀末と20世紀に最も頻繁に見ることのできる楽器を載せている。

マンドリン製作者はしばしば全く異なった楽器に、以前使われていた名前を当てはめている。

たとえば、リュートやキタローネとして知られる楽器がマンドリンの仲間へ19世紀末に加えられたものは、
同じ名前のよく知られているルネッサンスやバロックの楽器と全く関係がない。

現在まだ一般に知られているこれらの楽器は現在形で書かれ、
殆ど消えてしまった楽器は過去形で表現されている。
 

 No1.A-C  
 〈 Arcichitarra 〉
(アルチチターラ)
 キタローネ参照{日本ではギターローネ
あるいはチタローネと呼ばれる場合もあ
る} 
see chitarrone  
 〈 Bandola 〉
(バンドーラ):  
 

(1)Jhon H.Parkerは1894年8月7日に
この楽器のアメリカでの商標権を認め
られた。
 彼のバンドーラは22フレットあり、標準
的な調律のマンドリンの形の楽器だった。
 20世紀のアメリカで広く宣伝された。

(2)バンジョーのネックと、ギブソンフロ
ーレンス風の胴からなる複合楽器であ
る。
 36フレットの指板でバンジョーより他
のプレクトラム楽器とよく調和した音が
出る。

(3)ポルトガルとブラジルのフラット(胴
の平らな)のフレット楽器のテノール楽
器である。
その仲間としてハイソプラノのバンドリ
ネータ(bandolineta)とソプラノのバンド
リム(bandolim)と 
アルトのバンドレータ(bandleta) チェロ
のバンドロンチェロ(bandoloncello)があ
る。
 それらはヴァイオリンのファミリーをモ
デルにしているが、おそらくナポリ製マン
ドリンのファミリーに

 も由来しているだろう。 (Hambly
1977a:512-13,and information provided
by Paulo de Sa )

 
 

〈 Bandolim 〉
(バンドリム):

 

マンドリンの胴が平らなものでブラジルと
ポルトガルで広く演奏されている。

 

マンドリンの胴が平らなものでブラジルと
ポルトガルで広く演奏されている。

 〈 Bandurria 〉
バンデゥリア): 
 スペインに起源を持ちピックを用いフレ
ットがあり胴が平らな楽器で、ナポリマン
ドリンのスペイン版である。
小さいが奥行きのある胴で弦が非常に
短く(およそ10.5インチ{266.5m/m})6組
12弦は


18世紀以来標準のチューニングの全く4
度(g#-c#'-f#'-b'-e''-a'')で合わせ
る。
現在通常金属弦が用いられる。

図4参照)マンドリンと同じようにソプラ
ノからバスまで完全なバンドゥリア族があ
る。
その初期に歴史については、Tyler and
Sparks(1989:52-3)を参照。
 
 
 〈 Banjeaurine 〉
(バンジュリン):  
 フルサイズのバンジョー(c'''-f'-c''-
e''-g'')の4度上の調弦をする小さなバン
ジョーである。

アメリカの製作家 S.S.Stewart によって

1885年にバンジョークラブ・オーケストラ
でリード楽器として作られ、
バンジョリンがそれに取って代わるまでイ
ギリスとアメリカで普及していた。
 
 〈 Banjolin 〉
(バンジョリン):  
 これもマンドリンバンジョーとしても知ら
れている。短いネックで4弦もしくは8弦の
小さなバンジョー
であった。

マンドリンのように調弦するが大きなバン
ジョーの音が出た。

ソロ楽器としてはほとんど価値はなくその
主な目的はマンドリニストがラグタイム時代に

ダンスバンドの中でコードを弾くことがで
きたということだった。
 
 〈 Banjulele 〉
(バンジュレレ):  
 ウクレレバンジョーとしても知られている
。ハワイアンウクレレのバンジョー版であった。

4本のガット弦もしくはナイロン弦で(a'-

d'-f#'-b')に調弦された。 右手の指か
、ピックのどちらかで演奏した。

1920-30年代の人気歌手によって歌の伴
奏の為によく使われた。
 
 
 
 〈 Chitarrone 〉
(チタローネ):  
  

{これも参考までにWeb上にあるキターロ
ーネ(テオルボ)見て下さい、これが本来
の楽器です

 
  
  今は見られなくなりましたが、かって我が
国のマンドリン合奏団でも使っていたキタ
ーローネは全然違う形です。見たこと無
い方はちょうどギターの形をしたベースと
いった感じを思って下さいです}

 
 

1890年頃 ミラノの Monzino が
achchitarra を作った。

キタローネ(モデルナ{現代風なという意
味で古楽器と区別している})として一般
的に知られている。
弓で弾くダブルベースの調弦であるが、
人指し指と中指で交互に弦をはじいて出
すピッチカートやトレモロで演奏された。
それがピックで演奏されるマンドリンのパ
ワーより欠けている。

キタローネよりずっと多くの数のマンドリ
ンがいつもオーケストラにはあったため、
早い楽節や非常に大きな流れの中では
聞きとれなかった。

しかしピアニッシモの楽節や独立したゆ
っくりとした動きのところではずっと効果
的であった。( Ranieri1925:1994 )

 〈 Contra-bass banjo 〉
(コントラバス バンジョー): 
  非常に大きくとても大きな音の出る3本
弦のバンジョーで、(E,-A,-D.)と調弦す
る。

たいてい木及び革のピックで演奏される
。楽器の端から端までで5フィート{
1270m/m}の長さで

バンジョーマンドリンギターオーケスラの
中でダブルベースの代わりに(或いは加
えて)よく使われた。
 
 
 〈 Cremonese mandolin
(Brescian )〉
(クレモナ マンドリン):  
 Brescian マンドリンとしても知られる。

4本のガット弦で固定されたブリッジで事
実上ナポリ式のチューニングのミラノマン
ドリンである。

もともと19世紀初めにウィーンで広まった
もので20世紀の初めにドイツで非常に広
く使用された。

初期の歴史については Tyler and
Sparks(1989:139-40)参照。
 
 
  
フィオレンティーノのホームページ
CircoloMandolinistico
Fiorentino