歌劇「ナブッコ」序曲
 
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
アルマンノ・モルラッキ編曲
 
 イタリア,ロマン派歌劇最大の作曲家ヴェルディのオペラで、「椿姫(トラヴィアタ)」「リゴレット」などの著名なメロディを知らぬ人はまず無い。
この「ナブッコ」はオペラとしては第三作目に当るがその後の傑作の蔭にかくれて了つた感がある。
マンドリン合奏曲になったものとしては第一作の「サン・ボニファチオ伯爵オベルト」の序曲をムニエルが編曲したものが、昔は屡々上演されて楽団の技量の試金石のような役目を果たしていた時期があった。
この序曲を原曲のレギュラーオーケストラで聴くことは殆んどなく、日本では専らマンドリンオーケストラで弾かれるという奇妙な現象で、恰度これはチマローザの「オラツィオ兄弟」序曲がポーリによって編曲されたものが愛奏されたのに似ている。
このことはマンドリンオーケストラには之に匹敵する内容のレパートリーに乏しかったことにも拠る。
 ナブッコは正しくはネブカドネサル(Nabucodonosor)でバビロニア王、ユダヤ侵略をめぐり、その二人の娘の間に戦わされた愛憎の物語で四幕七場のオペラ。
序曲はへブライの捕虜たちの合唱「行けわが思いよ 黄金の翼に乗って」で始まる。
(クラシック音楽作品各辞典)
 編曲者アルマンノ・モルラッキ(1872−1941)はミラノの由緒ある大出版社リコルディでオペラ関係の仕事に携わり、当時一流の作曲家と交友があり傍ミラノのマンドリン合奏団の指揮、
その他マンドリンコンクールの審査にも携わっているマンドリン界には重要な人物でおびただしい数の編曲があり、オリジナル曲では「山吹くそよ風」が愛奏されている。
 明治44年来朝して日本にマンドリン音楽の種を蒔いたアドルフォ・サルコリとも親交あり、前日本マンドリン連盟会長田中常彦氏が渡伊した時はコンクールの時など並んで聴かれた由。
会合の時の写真を見ると背高く風采を構わぬ人のようで一見して判る。



[いる・ぷれっとろ番外編]