マズルカ カプリチオーサ
 
アルベルト・ヴァン・デ・ヴェルデ作曲
 
 マズルカ奇想曲とも云うべきもので余りマズルカ(ポーランド民舞曲)の形に束縛されることなく自由に気ままに作曲されたもの。
 彼の作品はドイツで多く出版されているが本邦では殆んど上演されていない。
と云うのは独特の生い立ちで、一般マンドリン界との交流がなかったことに拠る。
5才の時からマンドリンを弾き初めて、若い頃はヨーロッパを転々として、妹と組んでアクロバットをしながらヴァイオリンやマンドリンを弾いて見せたというショーマンで、今で云うサーカスの芸人のような経歴とのことである。
従って言葉も何カ国語も話せたと云う。
1977年(昭和52年)前後アメリカ・シカゴに在住し、マンドリン、ギター、チェロ等を教授していたのが77才と云うから1900年生まれになるが出生地については判明していない。
 本曲は1971年ドイツ、ハンブルグのトレケルで出版されたものであるが原曲はピアノ伴奏によるマンドリン二重奏曲。
これに類するマンドリン曲はかのアリエンツォ作の「第二マズルカコンチェルト」(実はミリアヴァッカの著名なマズルカをマルチェルリが編曲したもの)で調も二長調、イ長調、ト長調、ホ短調を組み合わせた趣向と似ており極めてマンドリン的である。
 本曲も屡々(しばしば)演奏される機会に恵まれれば、馴染まれて斯界に定着するのではないかと思われる佳曲の中に入りそうである。



[いる・ぷれっとろ番外編]