結婚行進曲
 
フェリックス・メンデルスゾーン作曲
フランチェスコ・ジョヴアンニ・ポーリ編曲
 
 ドイツ・ロマン派の代表的作曲家。
ロマンに耽溺の余り、回顧的なものを並べ過ぎたので誰も知る明るいこの曲を加えた。
しかしマンドリンで奏でられるこの曲は筆者もきいていない。
マンドリングループの中の結婚式にはよくマルティー二の「愛の喜び」が弾かれるがあれは(愛の喜びはただの一日も続かないのに愛の苦しみは果てしない)と歌っているのでこの曲の方が相応しい。
この結婚行進曲は作品61番「真夏の夜の夢」の9番目に置かれた実に明るい華麗な行進曲で、
残念乍らオリジナルのマンドリン曲の行進曲に匹敵するものはない。
 この編曲者ポーリはクレモナのマンドリン合奏団の指揮者で、活躍の範囲も広く、その夥(おびただ)しい数の編曲はいずれも充実した研鑽に基づいたもので他の追従を許さない。
我が国では「オラツィオ兄弟」と「秘密の結婚」(チマローザ)、「シンフォニアオリジナーレ」(カサッツア)などで馴染まれてはいるものの、全体から見れば出版に至ったもの少く、過般イタリアに勉学した石村隆行君の調査によれば、クレモナには厖大(ぼうだい)な遺稿が保存されてあったという。
実は本曲もその一つである。
ポーリはかのムニエルとも親交があり、作品203番の「ハ長調四重奏曲」はポーリに献曲されてある。
第二部に演奏されたムニエルの「二長調四重奏曲」もこのクレモナのメンバーに贈られた自筆譜によったものである。



[いる・ぷれっとろ番外編]